黒バック撮影に最適!植毛布を徹底解説

地味だけど実力はスゴイ!無反射植毛布のご紹介

みなさまこんにちは。

カメラマンから研究者まで光学DIY素材の友、暗素研の鉄平です。

 

弊社の新製品のド黒い塗料、「黒色無双」が最近大変話題になっており嬉しいです。欠品が続いており申し訳ございません。購入頂き、さらに素晴らしい作例をSNSに投稿してくれた皆様には感謝です。#黒色無双、ぜひTwitterにてチェックしてみて下さいね。

 

さて、本日は弊社の縁の下の力持ち的な商品、「無反射植毛布」について紹介します。

 

最初に重要なことをお伝えします。

無反射植毛布は黒色無双より黒いです。

触ってもいいので、コスパもいいです。

以上で今日のブログはおしまい。え?物足りない?

 

では気を取り直して、今日のブログでは植毛布の特徴を掘り下げつつ、他社品との比較や、おすすめの用途をご紹介していきますよ。レッツゴー。

光吸収素材の定番は植毛処理である。

光あるところに必ず影あり。古より光学研究者達は、時に光以上に影の存在を意識し、そのコントロールに心を砕いていたそうじゃ…。

 

という訳で、写真撮影にも光学研究にも非常に重要なのが無反射の黒素材。光の不要な反射はコントラストの低下やノイズを生み、観測の正確性や美観を損ねるのです。そんな余計な光はバッサリ吸収して、クリアな画像を得ましょうというのが無反射の黒素材の意義でございます。

 

そんな無反射素材を作るための定番の処理が植毛処理です。中でも静電植毛という処理は効果バツグン。細かいパイルを静電気の力で直立させた状態で基材に接着する方法です。

 

ところでなんで植毛品って黒いの?というお話。みなさん針の束の実験ってご存知です?

ピカピカ光る針も、束にして針先から見るとあら不思議。針束の先端が真っ黒に見えるという内容です。針と針の間に入った光は谷底の中を何度も反射しながら減衰しほとんど戻ってこないため黒く見えるのです。シルバーのキラキラした表面でさえ繰り返しの反射で黒を作り出せるというのが、この実験のビックリポイント。

 

これと同じような現象が植毛品の表層で起こっています。静電植毛により直立したパイルは、まるで密な針束のようです。

他の植毛素材と比較してみよう-エドモンドオプティクス編

植毛の構造がいかに光吸収に優れているか理解して頂いた上で、植毛布同士の違いを見てみましょう。今回想定する用途は、写真撮影の黒バック(黒背景)。かなりマニアックな比較になります。

 

まずは光学部品、光学資材の総合販売店、エドモンドオプティクスさんの「光吸収暗幕シート」です。光学設計者にとってはおなじみの大手光学資材サプライヤーでして、世界の至る所で「光学資材ならなんでも揃う!」と言ってもいいほどの製品供給システムを構築しております。そこで販売している製品です。

その光吸収暗幕シート、表面はなんだかフェルトに近い見た目をしております。つまり、植毛が直立しているのではなく、ランダムに固まっている状態。静電植毛では無いようです。

接着剤を塗った対象物に、パイルを落としたり吹き付けたりする加工方法ですね。フロッキー塗装と同じ感じです。

静電植毛と比べると毛が直立していないせいか、光吸収特性は最高ではありません。静電植毛の弊社無反射植毛布と比べてしまうと一目瞭然。しかしこの製品は安価に入手できますので、コストパフォーマンスは十分といったところでしょう。

他の植毛素材と比較してみよう-ハイミロン編

次はハイレベル同士の比較。プロカメラマンの撮影資材や暗幕としておなじみのハイミロン(黒)と、弊社の無反射植毛布です。

 

ハイミロンはこういった迷光防止、ベタ黒背景、暗幕用途の植毛布として、本当に定番ですよね。あなたが知っている一番黒いモノは?という問いにハイミロンと応える方は結構いらっしゃると思います。対して弊社の無反射植毛布(企業向けにはスエード0.9という名前でした)は近年まで個人向けには流通が無く、知名度ゼロ。ひたすらカメラメーカー向けに暗幕やレンズの内部部品用途として供給されておりました。

 

2枚を並べて~~

黒さ比較、ドン!

ハイミロンと無反射植毛布

そう、光陽の無反射植毛布はド黒いんです。ディスプレイによっては分かりづらいかな?

ただこの裏地の写真をみてなんとなく分かるでしょうか?無反射植毛布はちょっとゴワつくレーヨン基材で、しなやかさに欠け、扱いづらいです。

ハイミロンは暗幕の定番ということもあり、本当に柔らかくしなやか。撮影機材に巻きつけたり、セットの凹凸に追従させたりといった撮影状況では、間違いなくこちらの方が適していると思います。無反射植毛布はシンプルなセットの背景として、ドーンと平べったくお使い下さい。まさに漢の黒色素材でごわすよ。

 

 

以上、今回は輪をかけてニッチな植毛布について紹介させて頂きました。ぜひ黒色無双と合わせてご使用頂き、黒に溶け込むようなジオラマなどにお使い頂ければと思います。

 

それにしてもハイミロンの手触りはいい。洋服生地にもバッチリですが、無反射植毛布はどうでしょうか…。かなり着心地悪そうです。

どなたかお戯れで全身用衣類として作って頂き、名探偵コナンの黒い人コスプレとして活用いただけませんでしょうかね?

 

真実はいつもひとつ。暗素研の鉄平でした。

 

>漢の黒色素材「無反射植毛布」はこちら

2022/11/30 追記

本ブログでは「無反射植毛布は黒背景用途素材として最も黒い」というご紹介をしておりますが、現在は新製品「特級暗黒布 太黒門」という製品を販売しております。

可視光全反射率、無反射植毛布が0.4%に対し、特級暗黒布太黒門は0.1%。圧倒的な黒さを誇ります。

是非製品ページをご確認下さい。

>特級暗黒布 太黒門 製品ページ

 

コメントをお書きください

コメント: 1
  • #1

    黒フェチ (水曜日, 16 9月 2020 22:16)

    ここまで低反射を追究できるとはMade in 埼玉の技術は凄いですね。応援してます。