1.3m望遠鏡の副鏡(セカンダリーミラー)周辺の構造。鏡筒内部や遮光板など、迷光が発生しやすい箇所に「ファインシャット極」が施工されており、観測データのノイズ低減に貢献している。

【JASMINEプロジェクト】ブラック企業、宇宙へ行く3【天体望遠鏡の迷光防止】

執筆者: サクライ

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JAXA天体望遠鏡の迷光を阻止。 『ファインシャット極』が宇宙開発の最前線へ

みなさま、こんにちは。暗素研のサクライです。
今回は、弊社製品が日本の宇宙開発の一助になっているお話の第三弾になります。


国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)スタートラッカー試験のための暗室に使用されているIR1500 、天の川銀河研究センターの天体観測用望遠鏡の可視光線カメラに使用されているファインシャット極と、これまでこのブログでは、弊社製品が宇宙開発の先端研究の現場で使われていることをお知らせしてきました。


今回、またまたJAXAさまの施設、相模原キャンパスの屋上天体観測用望遠鏡の迷光対策に、弊社のファインシャット極が効果を発揮しているというお話を聞きつけ、サクライが取材させてもらいましたので報告させていただきます。

相模原キャンパスにお邪魔しました!

今回お邪魔したのは、 JAXA相模原キャンパス 。太陽の活動や月・惑星、ブラックホール、銀河の成り立ちなど、宇宙に関するさまざまな謎を研究している施設です。
場所は、淵野辺駅から歩いて20分、緑に囲まれた静かな場所にあります。

キャンパス内に入ると、全長30mもある大きなロケットの実機もあって、日本の宇宙開発の先端研究を行っている施設という雰囲気がしてきてワクワクします。

JAXA相模原キャンパスの空撮写真。ブログ記事で訪問した研究棟や、屋外に展示されている実物大ロケットモデルの全景。
JAXA相模原キャンパスの特別公開時の様子。多くの見学者が、屋外に展示されたM-V(ミューファイブ)ロケットの実物大モデルの横を歩いている。
   ↑ 平成27年度相模原キャンパス特別公開時の様子

まずは、今回ファインシャット極をご購入いただいた、宮川研究員にインタビュー。


JAXA相模原キャンパスの屋上天文台は、ハワイにある日本の国立天台の大型光学赤外線望遠鏡であるすばる望遠鏡のプロトタイプとして1988年に作られたとのこと。当時、大型の経緯台式天体観測望遠鏡の作製実績のなかった日本。すばる望遠鏡の建設前に経緯台式天体観測用望遠鏡の実績をつくるために作られた歴史のある望遠鏡なのだそう。


建設当時は周囲が暗く、天体観測に問題はなかったのですが、年月とともに街が発展、明かりが強くなり、望遠鏡の迷光として問題になってきたというお話でした。


そこで宮川研究員が、望遠鏡の迷光対策として着目したのが暗素研の誇る迷光防止シートファインシャット極です。


もともとTVなどで弊社を知っていてくださった宮川研究員、相模原キャンパスの屋上天体望遠鏡が街明かりでノイズが入ることが分かった時に、弊社のHPから迷光対策素材を選んでいただいたとのこと。そこで選んでいただいたのがファインシャット極

反射防止素材『ファインシャット極』のご紹介

それではここで、ファインシャット極の製品紹介をさせていただきたいと思います。

優れた光学特性と薄さの両立

ファインシャットシリーズは光学機器内部の反射防止素材として開発された、極細発泡のポリウレタンシートで、優れた光学特性と薄さを両立しています。ファインシャット極は、素材や特性はそのままに、表面に複雑な凹凸を形成して光吸収性能を更に向上させたグレードになります。

赤外領域での高い光吸収性能

赤外領域での高い光吸収性能も本製品の特徴です。一般的な迷光対策資材である植毛(フロック)処理で用いられるパイルは染料によって黒く染められています。染料による黒は見た目には黒くても、人間の感知できる波長上限に近い700nm以上の長波長では光吸収性能を大きく損ない、近赤外線の迷光対策に使用することができなくなります。ファインシャットシリーズは染料由来の黒ではなく、原料にカーボンを練り込んだ黒さですので、可視光から赤外域まで安定した光吸収効果を得ることができます。近赤外にも波長感度を持つ産業用カメラの迷光対策資材に最適です。

『ファインシャット極』の効果

実際にファインシャット極は天体観測用望遠鏡の可視光カメラの内部や望遠鏡の躯体の迷光防止に使用いただいているようです。データ上でも光のノイズが減ったことを実感しているとのこと。


また、こちらの天体観測用望遠鏡には現在可視光カメラが設置されているのですが、宮川研究員の開発している JASMINEプロジェクト 用の赤外線検出器を来年度設置して、人工衛星に乗せる前の地上でのデータ取りにも使用されるとのお話を伺えました。 JASMINEプロジェクト は、赤外線を観測する人工衛星を打ち上げて天の川銀河の中心領域を精度よく観測しようとする計画で、弊社も大変注目している計画です。このようなところでまさか弊社の素材がお役に立てる日がくるとは!

実際の天体観測望遠鏡を見学!

インタビューも終わって、それでは弊社素材が活躍している場面を見に行きましょう。エレベーターに乗って、相模原キャンパスの屋上へ。当日は降っていた雨も止んで、屋上にはキレイな空が広がっていました。

相模原キャンパスの屋上には円形の部屋が設置されていて、その中に1.3mの望遠鏡が設置されていました。

その写真がこちら。!

JAXA相模原キャンパスの屋上天文台に設置された1.3m望遠鏡。この内部に、市街地の光による迷光対策として、暗素研の光学シート「ファインシャット極」が使用されている。

公の施設の天体観測用望遠鏡を実際に見るのは初めてだったのですが、大きさにびっくりしました。すばる望遠鏡のプロトタイプでこの大きさ。ハワイにある、すばる望遠鏡は本当に大きなものなのでしょうね。


望遠鏡の可視光カメラの画像はこちら。

可視光カメラ内部での迷光防止

こちらの内部の迷光防止ファインシャット極 』が使用されているとのこと。また、可視光カメラの光路の部分、赤い点線の丸で囲った部分の迷光防止にもファインシャット極を使用いただいているとのことでした。

JAXAの施設において、暗素研のファインシャット極が採用されている状況を示す画像。左側に機器全体が写っており、右側ではその一部が拡大され、「ファインシャット極」および「可視光カメラ」という説明が日本語で付記されている。

副鏡裏での効果検証と作業性

さらに副鏡の裏側にも段ボールに貼られたファインシャット極が設置されていました。ファインシャット極カットも容易で貼る場所を選ばないので、トライ&エラーがしやすく大変助かったというお言葉もいただけました。こちらのパーツは、効果が分かったのでおいおい、金属板もしくはプラスチックで部品を作り、正式バージョンにアップデートしたいとのお話でした。

JAXAの望遠鏡に採用された暗素研のファインシャット極。望遠鏡の副鏡裏に取り付けられた状態を拡大して示す。

おわりに

スタートラッカーの開発用特殊暗室に使われていることがわかったIR1500。宇宙を観察する天体観測用望遠鏡のカメラ内部の迷光防止に使われていることが分かったファインシャット極真・黒色無双。今回、JASMINEプロジェクトに使用される予定の天体観測用望遠鏡の迷光防止用途に使用されている様子を見せていただいたファインシャット極

またまた、弊社素材が日本の宇宙開発の一助になっていることがわかり、大変うれしく思います。引き続き、黒さに磨きをかけた製品を開発することで、日本の宇宙開発を盛り上げられたらと考えています。是非みなさま、応援よろしくお願いします。


それでは今回はこの辺で。

暗素研のサクライでした。

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