ブラック企業、宇宙へ行く番外編〜赤外線か、可視光か。究極の暗黒空間を作るための素材選び〜

みなさま、こんにちは。暗素研のサクライです。
今回は、弊社素材で宇宙空間を再現する暗室を作る場合の、素材の選び方のお話です。
「宇宙を地上で再現する」
そう聞いたとき、多くの人が思い浮かべるのは「真っ暗な部屋」でしょう。しかし、私たち「暗黒のプロ」が挑む宇宙空間の再現は、そんなに単純なものではありません。
なぜなら、再現したい「宇宙」が、人間の目に見える宇宙なのか、それとも精密機器(センサー)が見る宇宙なのかによって、必要な「黒」が全く異なるからです。
今回は、これまでのプロジェクト(JAXAの衛星試験支援や天体追尾シミュレーション)で得た知見をもとに、失敗しない暗室素材の選び方を解説します。
これまでのブログシリーズは以下のリンクを参照ください。
第一弾 【スタートラッカー】ブラック企業、宇宙へ行く【人工衛星】
ansoken.black
第二弾 【天体望遠鏡】ブラック企業、宇宙へ行く2【迷光防止】
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第三弾 【JASMINEプロジェクト】ブラック企業、宇宙へ行く3【天体望遠鏡の迷光防止】
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第四弾 【フライバイ探査時の天体追尾】ブラック企業、宇宙へ行く4【宇宙機姿勢決定実験】
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1. 「目に見える宇宙」を再現するなら:無反射植毛布
プラネタリウムやフォトスタジオ、天体追尾のシミュレーションなど、主に「人間の目」や「一般的なカメラ」を対象にする場合、最強の味方になるのが「無反射植毛布」です。
【活用シーン】
- 天体追尾シミュレーションでの星空投影
- 宇宙空間でのフライバイ(接近通過)映像の撮影
- 没入感重視の展示スペース
なぜ「無反射植毛布」なのか?
可視光域において、この素材は99.7%という圧倒的な吸光率を誇ります。表面の微細な長い繊維が光をトラップし、斜めから光が当たっても白飛びしにくいのが最大の特徴です。
「そこに壁があることすら忘れる」ような深い闇を地上に現出させたいなら、コストパフォーマンスを含め、これ以上の選択肢はありません。
可視光を99.7%吸収。理想的な「暗黒空間」を追求する方へ
無反射植毛布の詳細・購入はこちら2. 「センサーが見る宇宙」を再現するなら:IR1500
一方で、人工衛星に搭載される「スタートラッカー(星方位計)」の動作試験など、高度な光学シミュレーションを行う場合は、話が別です。
JAXAをはじめとする宇宙開発の現場では、可視光だけでなく「赤外線(IR)」の迷光対策が死活問題となります。なぜなら、宇宙用センサーの多くは、人間の目には見えない赤外線領域まで高い感度を持っているからです。
【活用シーン】
- 人工衛星用スタートラッカーの地上試験
- 赤外線センサーのキャリブレーション(校正)環境
- ナイトビジョン(暗視装置)の評価試験
ここで登場するのが「IR1500」です。
一般的な黒い布や塗料は、赤外線を通したり、鏡のように反射してしまったりすることが多いのですが、近赤外吸収植毛布 IR1500は、近赤外域まで極めて低い反射率を維持します。
「人間の目には暗黒に見えても、センサーで見ると真っ白」という、宇宙開発における最悪の失敗を防ぐための解決策。それがIR1500なのです。
赤外線カメラで見た画像、右がIR1500、左が一般的な黒い布
近赤外域まで低反射。精密機器が見る「闇」を再現する
近赤外吸収植毛布 IR1500の詳細はこちら3. 素材選びのチェックリスト
あなたが作りたい「宇宙」に合わせて、以下の基準で素材を選んでください。
| 再現したい対象 | 優先すべき波長 | 推奨素材 |
|---|---|---|
| 人間の目・写真撮影 | 可視光 (400〜700nm) | 無反射植毛布 |
| 光学センサー・衛星試験 | 近赤外線 (〜2500nm) | IR1500 |
まとめ:その「黒」は、どの波長の黒か?
「ブラック企業(暗黒を追求する企業)」として私たちが学んだのは、宇宙の闇は一つではないということです。
圧倒的な「視覚的没入感」を求めるなら、無反射植毛布。
赤外線を含む迷光を完全にシャットアウトし、「精密機器を騙す」ほどの宇宙を作るなら、IR1500。
私たちはこれからも、地上に「本物の宇宙」を現出させるため、あらゆる波長の闇をコントロールし続けます。
次回の「ブラック企業、宇宙へ行く」シリーズもお楽しみに。
それでは今回はこの辺で。 暗素研のサクライでした。
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