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正反射と拡散反射の図。正反射光は入射角と同じ角度で反対側へ、拡散反射光はいろいろな方向へ反射する。

この記事の結論

・反射率は、物体に当たった光のうち、跳ね返った光の割合です。光を通さない物なら「吸収率=100%-反射率」になります。

・反射には、鏡のような正反射と、いろいろな方向へ散る拡散反射があり、両方を合わせたものが全光線反射率です。

・黒さを比べるなら全光線反射率で。正反射率だけの数字は、拡散反射が抜けているぶん、実際より黒く見えてしまいます。

みなさま、こんにちは。暗素研のサクライです。

われわれ暗素研では、素材の黒さを光反射率(光吸収率)で判断しています。今回は、知っていそうで意外と知らない光反射率について、反射率とは何か、どうやって測るのか、データを見るときにどこに気をつければよいのかを、光を操るブラック企業・暗素研が解説していきたいと思います。

反射率とは

反射率とは、物体に当たった光(入射光)のうち、反射した光の割合のことです。ふつうは %(パーセント)で表します。

反射率(%)= 反射光 ÷ 入射光 × 100

物体にぶつかった光は、①物体から跳ね返る反射光、②物体に吸収される吸収光、③物体を通り抜ける透過光に分かれます。

物体に当たった光(入射光)が、反射光・吸収光・透過光に分かれるようすの図。

光を通さない(不透明な)物体なら透過光はないものと考えられるので、「入射光=反射光+吸収光」になります。つまり、反射率を測れば、その物体がどれだけ光を吸収したか(吸収率)がわかります。

吸収率(%)= 100% - 反射率(%) ※光を通さない物体の場合

暗素研の製品は光を通さない素材なので、この考え方で「反射率が低い=よく光を吸収する=黒い」と評価しています。薄いフィルムなど光を通す素材では、透過率も測らないと吸収率は出せません。

そもそも光とは

そもそも光とはなんでしょう。太陽光、蛍光灯の光、LEDの光、その他いろいろな光がありますね。

光は電磁波の一種です。太陽などから出ている電磁波のうち、人間の目で感じることのできる、おおむね360〜830nmのものを可視光線と呼びます。これが光です。目に入る光は、波長によって感じる色が変わり、400nm付近では紫、450nm付近では青、550nm付近では緑、580nm付近では黄、600nm付近では橙、700nm付近では赤に見えます。

可視光の波長と色(目安・nm)

この範囲の波長の電磁波は固体や液体に当たって反射しやすい性質を持っており、それに対応して生物の眼が進化して、可視光と呼ばれる電磁波を「見る」ことができるようになったというわけです。

黒は光がない状態

では、黒とはなんでしょうか。それは、目で見える波長の光がどれも感じられない状態のことです。完全に黒い物体とは、光の反射が0で、すべての波長の光を吸収する物です。現実には反射が0の物体は存在しませんが、われわれ暗素研は、日々反射の小さい素材を探し・作り出し、限りなく反射がゼロに近い製品を世の中にお届けする研究を続けております。

反射光の種類:正反射・拡散反射・全反射

ここで、反射光にも種類があることを解説していきたいと思います。反射光には正反射光(鏡面反射光)と拡散反射光(乱反射光)があり、それらを合わせたものを全反射光と呼びます。

全反射 = 正反射 + 拡散反射

正反射と拡散反射の図。正反射光は入射角と同じ角度で反対側へ、拡散反射光はいろいろな方向へ反射する。
種類 どんな反射か 強く出るもの
正反射
(鏡面反射)
入射角と同じ角度で、反対側へまっすぐ反射する 鏡、ガラス、光沢・つやのある物
拡散反射
(乱反射)
表面で散らばり、いろいろな方向へ反射する 紙、布、つや消しの塗装など、表面の粗い物
全反射
(全光線反射)
正反射と拡散反射を合わせたもの。当たった光のうち、戻ってきた光のすべて —(黒さを比べるときはこれを見る)

ここでいう「全反射」は、正反射と拡散反射の合計のことです。光ファイバーなどで使われる、屈折率の違う境界で光がすべて跳ね返る「全反射」とは別の意味です。

目で物を見るとき、私たちはおもに拡散反射光を見ています。つや消しの黒い物がどこから見ても黒いのは、拡散反射が少ないからです。一方、光沢のある黒い物は、正反射の方向から見ると照明が白く映り込みます。

反射率は波長で変わる(分光反射率)

反射率は、ひとつの数字で表されることが多いですが、実際は光の波長ごとに違います。波長ごとの反射率を分光反射率といい、横軸に波長、縦軸に反射率をとったグラフで表します。

物の色は、この分光反射率の形で決まります。たとえば赤い物は赤の波長(600〜700nm)をよく反射し、ほかの波長を吸収しています。白い物はどの波長もよく反射し、黒い物はどの波長もあまり反射しません。

ただし、「どの波長も」というのは目に見える範囲の話です。目で見て黒い素材でも、目に見えない近赤外線はよく反射することがあります。下のグラフは、光学機器によく使われる黒アルマイトと、当社の 真・黒色無双・ファインシャット の分光反射率です。

グラフにカーソルを合わせる(スマホはタップ)と、その波長の反射率が表示されます。横にドラッグすると拡大できます。凡例を押すと線の表示・非表示を切り替えられます。縦軸は対数目盛です。
反射率は外部試験機関で測定した全半球反射率(入射角8°)の代表値であり、保証値ではありません。250~2500nmを5nm刻みで測定した実測データのうち、250~1500nmを25nm間隔で描画しています。黒アルマイトは当社で入手した部材を同じ条件で測定した参考値です。

黒アルマイトは、目で見える範囲では 5% 前後ですが、近赤外では大きく反射率が上がります。どの波長で使うかによって、選ぶべき黒い素材は変わります。近赤外については「赤外線を反射する素材・しない素材」でくわしく紹介しています。

反射率の測定方法(積分球)

では、全反射光はどうやって測るのでしょうか。正反射光はまっすぐ一方向に返ってきますが、拡散反射光はあらゆる方向へ散らばります。これをもれなく集めるために使うのが積分球です。

積分球は、内側に光をよく反射する白い素材を塗った中空の球です。試料で反射した光は、球の中で反射をくり返して均一になり、検出器で測られます。この光の量を、反射率がわかっている標準白板で測ったときの量と比べることで、試料の反射率を求めます。

積分球を使った全光線反射率の測定の例。入射角8度で試料に光を当て、反射した光を積分球で集める。

測定の流れ

①光を入れない状態で測り、検出器のゼロ(ダーク)を合わせる
②標準白板を置いて測り、基準(ベースライン)にする
③試料を置いて、波長を変えながら測る
④標準白板そのものの反射率で補正して、反射率(%)を出す

分光光度計で波長を変えながら測ると、上のような分光反射率のグラフが得られます。

入射角は8°が一般的

入射角は、試料に垂直な線から何度傾けて光を当てるかを表します。真上(0°)から当てると、正反射光が入ってきた穴からそのまま外へ逃げてしまうため、少し傾けた8°で当てるのが一般的です。こうすると正反射光も球の中に残り、全反射光を測ることができます。

色彩計の SCI・SCE

色や反射率を測る色彩計・分光測色計には、SCI と SCE という2つの方式があります。

方式 意味 わかること
SCI 正反射光を含めて測る(Specular Component Included) 表面のつやに左右されない、素材そのものの反射率・色(全反射に相当)
SCE 正反射光を除いて測る(Specular Component Excluded) 正反射の方向を避けて見たときの、目で見た印象に近い値

同じ試料でも、つやのある物ほど SCI と SCE の差が大きくなります。データを比べるときは、どちらの方式で測ったかをそろえることが大切です。

暗素研では、積分球で全光線反射率を測り、「100%-全光線反射率=吸収率」として黒さを評価しています。当社で導入した測定機器については「分光光度計の導入レポート」をご覧ください。

反射率データを見るときの注意

カタログやウェブサイトの反射率の数字は、測り方によって大きく変わります。比べるときは、次の点をそろえて見てください。

1. 正反射率だけの数字ではないか

いちばん注意していただきたいのは、正反射率だけを「反射率」として表記している例も多いということです。正反射率には拡散反射が含まれていないので、一見小さい値になり、データの上ではとても黒い物のように見えることがあります。しかし、実際に目で見た黒さは、拡散反射を含めた全光線反射率で議論するのが正しいと、われわれは考えています。

2. 入射角はいくつか

反射率は光を当てる角度でも変わります。多くの素材は、斜めから光が当たるほど反射率が上がります。8°で測った値と、45°や60°で測った値は、そのまま比べられません。

3. どの波長の値か

「反射率 0.5%」と書いてあっても、ある1つの波長の値なのか、可視光全体の平均なのかで意味が変わります。上のグラフのように、波長によって反射率が何倍も違う素材もあります。使う光の波長で比べることが大切です。

4. 平均の取り方

可視光の平均といっても、400〜700nm の平均なのか、380〜780nm の平均なのか、目の感度で重みづけした値(視感反射率)なのかで数字は変わります。

黒い素材の反射率の目安

では、黒い素材の反射率は実際にどれくらいなのでしょうか。当社の製品と、比較参考の黒アルマイトを、同じ条件で測った値で並べました。

素材 反射率
(400〜700nm 平均)
どんな素材か
黒マットアルマイト(比較参考) 5.7% 光学機器の部品によく使われる表面処理
黒色無双IR 2.4% 近赤外まで吸収する塗料
ファインシャット SP 1.2% 光学部品用の反射防止シート
ファインシャット 極 0.70% ファインシャットの上位品
真・黒色無双(エアブラシ塗装) 0.61% 塗料
ファインシャット 極XX 0.53% ファインシャットの最上位品
無反射植毛布 NF 0.40% 植毛シート
近赤外吸収植毛布 IR1500 0.27% 近赤外まで吸収する植毛シート
特級暗黒布 太黒門 0.10% 当社でいちばん黒い布

全光線反射率(入射角8°)の代表値で、保証値ではありません。黒アルマイトは当社で入手した部材を同じ条件で測った参考値です。

ふつうの黒い物は数%の反射率があります。暗素研の素材は、その数分の1から、いちばん黒い太黒門では50分の1以下です。用途ごとの選び方は、各製品のページでご案内しています。

よくあるご質問

Q. 反射率と吸収率はどういう関係ですか?
A. 光を通さない物体では「吸収率=100%-反射率」です。たとえば反射率が 0.7% なら、吸収率は 99.3% です。光を通す物体では、透過率も差し引く必要があります。

Q. 反射率0%の物体はありますか?
A. 現実にはありません。どんなに黒い素材でも、わずかに光を反射します。当社の素材では、特級暗黒布 太黒門が可視光の平均で約 0.1% です。

Q. 正反射率と全光線反射率、どちらを見ればいいですか?
A. 黒さを比べるなら全光線反射率です。正反射率だけの数字には拡散反射が含まれないため、実際に目で見たときより黒く見える値になります。

Q. 黒い物の反射率はどれくらいですか?
A. 素材によりますが、ふつうの黒い物は数%あります。光学機器によく使われる黒マットアルマイトは、当社の測定で可視光の平均 約 5.7% でした。反射防止用の黒い素材では 1% を切るものもあります。

Q. 色によって反射率は違いますか?
A. 違います。物の色は、波長ごとの反射率(分光反射率)の形で決まります。白い物はどの波長もよく反射し、黒い物はどの波長もあまり反射しません。ただし目に見えない近赤外線は、黒い物でもよく反射することがあります。

まとめ

今回は、光反射率(光吸収率)について、光を操るブラック企業・暗素研が解説しました。反射率は黒さを表すいちばんわかりやすい指標ですが、正反射か全反射か、入射角や波長はどうかで、同じ素材でも数字が変わります。データを比べるときは、測り方までそろえて見てみてください。

この記事がみなさまの黒への理解の一助となることを祈って、終わりにさせていただきます。

お手持ちの素材の反射率測定についても、ご相談を承ります(内容によってはお受けできない場合があります)。

黒色素材・反射防止でお困りの用途がありましたら、必要な反射率やサイズに合わせて最適な品番をご提案します。

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